1週間に授業2回しかないのに、羅生門を読み、古典文法を教え読解させ、漢文の句法もやるって
どうやってやれというんだ。
こんなあなたの助けになります!
・来年度から始まる新しい国語に不安な保護者の方
・現代の国語や言語文化について情報を得たい人

2022年度からスタートする、高校の新学習指導要領。
詳しく知りたい人はまずこっちをみてね!
もくじ
1、今年4月から始まる「現代の国語」と「言語文化」
2、例:東京書籍のそれぞれの教科書の目次 小説軽視は否めない!
3、更なる問題点 言語文化の標準単位数は2!?
4、小説を大切に思う心を失わずに授業を組むぞ私は。
1、今年4月から始まる「現代の国語」と「言語文化」
今年4月に高校1年生になる生徒から、国語の内容が変わります。
これまで1年次には「国語総合」という科目を学んでいましたが、学習指導要領の改訂により「現代の国語」と「言語文化」という科目を学ぶことになります。
何がどう変わるか、教科書会社が出しているダイジェストを見てみましょう!
2、例:東京書籍のそれぞれの教科書の目次 小説軽視は否めない!
まずは「現代の国語」。
東京書籍が作った「現代の国語」の目次がこれです。はい、どん!

見てください。まず小説がありません…!!小説は「言語文化」の方に入っているのです。
それでは言語文化の方、見てみましょう。
東京書籍の場合、「現代文編」「古文編」「漢文編」に分かれていますので、全部で3枚の画像を連続して載せます。



現代文編をみると、確かにこれまで定番教材だった「羅生門」も入っていますが、どうしても分量的に痩せてしまった印象が…。
古文・漢文の分量はあまり変わらず、現代の国語では1冊使って評論を扱うのに、小説はこの扱い。
やはり、叫ばれていた小説軽視は現れてしまっていますね…。

3、更なる問題点 言語文化の標準単位数は2だと…!?
標準単位数というのは、要するに、1週間に何回その授業があるかを指します。
言語文化の標準単位数は「2」です。
2!?
なん…だと…!
1週間に2時間しかない中で、この内容を網羅的にやれというのか…!?
古文では用言の活用をスタートに文法を教えなくてはならないし、漢文も句法をやらなきゃいけない。
その中でどうやって羅生門や富嶽百景を読めと?
これはもう明らかにこれまでの「国語総合」よりも小説に割く時間を減らさねばなりません。
4、小説を大切に思う心を失わずに授業を組むぞ私は。
小説に多くの時間は不要。
そういう意図が見える今回の変更。
確かに、小説は評論文をはじめ、その他図表やグラフを読む力に比べ、実社会の中では学習した結果の見えにくい力と言えるでしょう。
しかし、高校で学ぶ小説、特に近代文学を軽視するということは、視野の狭い人間が増えるということだと思います。
古文・漢文ももちろんそうですが、先人の歩みを、考え方を知ることは視野を広げることにつながります。
人間は、良くも悪くも変わりません。
時代が移り変わり、100年前、500年前、1000年前とは全く違う生活をしていても、文学に触れた時、なぜこれほどまでに心に突き刺さるのでしょう?
それは、私たち人間の中に、変わらない部分があるからに他なりません。
だからこそ、先人の経験は現代人の我々にも有効なわけです。
それを学ぶのが文学というものでしょう。
そうして視野を広げることが幸せな生活にもつながると信じています。
近代小説や古文・漢文に割ける時間が減ったとしても、こういうことを教えているんだという国語教師としての矜持は持ち続けたい。
浅い「即戦力」という言葉に騙されたくない。
そう思って来年度からも授業に全力でぶつかっていきます!!!

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